マイホーム新築ごっこ ~その3 庭がもたらす暮らしとは~

2023/08/24

前回は庭をもたない「パワービルダーが建てる建売住宅」について触れました。考えてみれば、①土があれば雑草が生え、②花を育てるには用土や肥料を買ったり、③樹木を植えれば水やりしたり冬には落ち葉を掃除したりと、庭には手入れが必要です。えーっ!? めんどうくさい!!

そうですよね。庭を持つのは面倒くさい。では、唐突ですが「自分の子の世話をするのは面倒くさいですか?」。愛する存在を持つと世話は当然、というか世話を焼きたくなります。そもそも「面倒」とは当て字で「めどう(愛でる)」が語源とか。

庭で大きく成長した木。たくさんの葉がつくる日陰は真夏にホッとする空間です。外壁や室内の温度上昇を防ぎ冷房効率を上げます。落葉樹なら真冬には葉を落として暖かな日差しを部屋の奥へと招き入れます。樹上に実った赤い実を啄みに来る鳥たち。大きな蝶、トンボたち。愛する樹や花たちの世話は面倒ではありません。四季それぞれに、お互いに生きていく楽しみを見つけます。植物も人も虫たちも。

積水ハウスが2001年から提唱している「5本の樹」—3本は鳥のため、2本は蝶のために、日本の在来樹種を植えましょうという提案です。同社の考えの底にあるのは失われつつある生態系ネットワークの維持・復活。地元の里山の自然とつながることによって暮らす人の環境に潤いをもたらすというのです。

庭が家族にもたらすもの。それは自然とのかかわりを四季折々に感じていく暮らし。人にとって「家」は雨露をしのいで暖をとるだけでなく、安らかな眠りや食事を得る場所。さらに雨や陽ざしといった自然の営みを間近に感じる「庭」がそこにあってこそだと思います。

では、また。