いつかは、クラウン。
先日、福島市内で行われた大手メーカーによる新築アパートの完成見学会へ足を運んできました。最新技術をつぎ込んだ数々の魅力に触れてふと、感じたことがあります。それは人の抱く、住まいへの想いです。
そのアパートは、ある私立高校の近くで閑静な住宅街の一角にあります。外観は一見、他の新築アパートと変わりありません。ところが室内に入って驚きます。2,450ミリの天井高と廻り縁の無い内装仕上げによって面積以上に広く感じる空間設計。建築基準法では天井高は2,100ミリ以上と定められていますし、高さ2,200ぐらいの物件がまだまだ多いのです。そして空気(ガス)層の厚い遮熱断熱ペアガラスサッシにコンパクトながら高効率のヒートポンプエアコン。壁内部の断熱材は厚みも材質もワンランクアップしているそう。建物自体、ゼロエネルギー住宅認定(ZEH)で太陽光発電パネルと蓄電池も搭載しており、停電などの非常時でも冷蔵庫やモバイル充電はOK。さらに浴室は1坪タイプで足を伸ばせる大型バスタブ、キッチンには3口タイプのIHクッキングヒーター、スライド収納はソフトクローズ。加えて、リビングの照明は何とLEDプロジェクターやスピーカーが内蔵された「ポップインアラジン」。白壁をスクリーンにしてネット動画を100インチサイズに映し出して家族の休日を楽しめるというワケです。
これが月々の家賃6万円台で暮らせる3LDKアパートの一室です。若いご夫婦の快適でステキな暮らしに想いを馳せ、冒頭に書いたある想いを抱きます。
私たち60年代生まれの世代、結婚した頃に住んだのはたいてい古い賃貸物件でした。石油ファンヒーターと扇風機で四季をしのぐ毎日。そして、「やがては持ち家へ」と人生のステップアップを夢見たものでした。軽自動車から、いつかはクラウン。アパートの小さな水槽で金魚飼育から、庭で大型犬と戯れる週末へ。若い時はあっという間に過ぎ、豊かな老後を満ち足りたマイホームが彩るというストーリー。果たして、最先端アパートの暮らしは若夫婦に「持ち家の人生的価値」を気付かせてくれるだろうか。
では、また。