ハチは何もしないヒトを刺すか、害虫は害なのか

2024/08/07

8thCALという企業があります。エシカルと読みます。最近とても注目されているコトバの筆頭ではないでしょうか。直訳すると「倫理的」。例えば「安ければいい」というシンプルで短絡的な行動規範ではなくて「社会や環境を考えた、より広い視野で判断する『正しい』ライフスタイル」を指すコトバ。

銀座2丁目に本社を置く創業60年を数える害虫防除の会社「シェル商事」。そのグループの一端を担う「8thCAL株式会社」。殺虫剤などを使う駆除・防除の一歩先、そもそもそれらの生き物たちを発生させない「予防」に取り組んでいるのです。

社長の岡部 美楠子さんの考え方をウェブで読み、共感する部分がありました。害虫と呼ばれる虫たちを前に、早く退治して!!と金切声を上げる方々に私はよく尋ねます「その虫、あなたに何か危害を?」。岡部さんは言います「すべての生物に存在意義がある」。都会のヒトたちが清潔で安全に暮らすための手段として、社会は駆除・防除という仕組みを行い続けてきました。しかし、殺虫剤を使い続けていると一定数の生物はその薬品に耐性を持って生き残り、その繰り返しが連綿と続くのです。

同じ自然の一部である虫たちとヒトが互いの生活を侵すことなく共生できる方法はないか。地球上でもっとも賢く論理的で倫理的でもあるはずのヒトが「気持ち悪いから、嫌いだから害虫を殺す」という行為の連鎖から抜けられないのはおかしい。岡部社長はそう考えて予防への道を歩んでいます。

牧野富太郎先生が「雑草という植物はない」と言ったように、「害虫」という虫はいません。巣を棒でつついたり大声で騒いだりしないヒトを、何の理由もなく蜂は刺しません。では、また。