お盆の精霊馬とイエスのウエハース

お盆にご先祖が乗って帰ってくる「馬」を用意する習慣をご存じですか。キュウリに割りばし4本で足をつけた「精霊馬」というお供え。速く走れる馬を模して、迎え盆の12日ごろから「亡くなった家族がお盆に、少しでも早く帰ってこれるように」という思いを込めた古くからのお盆の風習です。逆に16日の送り盆には、先祖を送り出す名残惜しさからゆっくり歩む牛を模した茄子に短めの足を刺すのです。すらりとしたキュウリは馬、コロンと丸い茄子の下ぶくれ具合が牛っぽい。

真夏に4、5日仏壇に供える精霊馬は腐りやすく、送り盆のあとに食べることはできません。送り火の焚き上げとともに捧げたり、自宅の土に埋めたりします。食べ物を粗末にしない教えを守らされてる日本人が、ことお盆行事の際は「食べものではなく神聖な仏様のお供え」なのです。

さて、日曜教会でミサに参加すると「ご聖体」として500円玉ぐらいのウエハースを神父様から1枚1枚いただきます。これは最後の晩餐でキリスト自身が、一緒にテーブルについた弟子たちにパンを「わたしのからだ」として与えたことに由来します。でも、そのウエハースはキリスト教の洗礼を受けていない一般の人はいただけません。なにせご聖体ですからね。

先祖の教え、先祖の御霊を大切に守る。先祖があって自分がある。この当然のことを、お盆を迎えるこの時期に想い返す時間も大切ですね。では、また。